店舗併用住宅や小規模店舗では、電気の契約に「電灯」と「動力」が出てくることがあります。家庭の電気契約だけを見てきた人にとっては、なぜ契約が2つあるのか、どちらを見直せばよいのか分かりにくい部分です。
簡単にいうと、電灯は照明や一般的な家庭用電気機器に使う契約、動力は業務用エアコン、冷蔵庫、ポンプ、モーターなどの三相機器に使う契約です。家庭用の電気代と、店舗や業務用機器の電気代は、同じ見方では比較できないことがあります。
この記事では、電灯と動力の違い、契約が2つになる理由、小規模店舗で見直すときの確認ポイントを整理します。
電灯と動力は使う機器が違う
電灯契約は、照明、コンセント、家庭用エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、パソコンなど、一般的な単相の電気機器に使われます。家庭の従量電灯や自由料金プランの多くは、この電灯側の契約です。

一方、動力契約は、三相200Vの業務用機器に使われます。大型の業務用エアコン、厨房機器、業務用冷蔵庫、ポンプ、モーターなど、店舗や工場で使う機器が対象になることがあります。
東京電力の説明でも、一般的な単相機器と工場等で使用される三相機器は分けられ、電気方式に応じて電気を届けるため、契約も分かれることが示されています。
契約が2つになることがある
店舗併用住宅では、住居部分の照明やコンセント用に電灯契約、店舗側の業務用機器用に動力契約があるケースがあります。請求書が2枚、契約番号が2つ、メーターが2つある場合は、それぞれ別契約の可能性があります。
東京電力のFAQでは、単相機器には従量電灯、三相機器には低圧電力というように、それぞれの電気方式に対応した料金を設定しているため、契約も2つになると説明されています。
電灯だけを見直しても、動力側の電気代が大きい店舗では効果が限定的です。反対に、動力機器をほとんど使っていないのに基本料金がかかっている場合は、契約内容の確認が必要です。
低圧電力は主に50kW未満の動力向け
低圧電力は、商店や工場などでモーター等の動力を使用し、契約電力が原則として50kW未満の方向けのメニューとして案内されています。東京電力EPでは、標準電圧200V、三相3線式で電気を届けると説明されています。
関西電力の低圧電力でも、3相200Vの大型エアコン、業務用冷蔵庫、ポンプ等を使用する方向けのメニューとされています。つまり、動力は家庭の照明や普通のコンセントとは別に、業務用設備の使用状況で考える必要があります。
料金は、契約電力に応じた基本料金と、使用量に応じた電力量料金で構成されます。動力機器は使用量が多くなりやすい一方、契約電力や設備容量の見方が重要です。
店舗併用住宅や小規模店舗で見るポイント
小規模店舗でまず確認したいのは、請求書に「従量電灯」「低圧電力」「動力」などの契約種別があるかどうかです。契約が2つある場合は、それぞれの基本料金、使用量、契約電力を分けて見ます。
次に、実際に動力機器をどれだけ使っているかを確認します。業務用エアコン、冷蔵庫、冷凍庫、ポンプ、換気設備、厨房機器などがある場合、動力契約が必要な可能性があります。
一方で、以前の店舗設備のまま契約だけ残っている、動力機器をほとんど使っていない、季節によって使用量が大きく変わるという場合は、契約電力や設備内容を見直す余地があります。
家庭用の比較サイトだけでは判断しにくい
家庭用の電気料金比較は、主に電灯契約を対象にしていることが多く、動力契約まで同じ画面で比較できない場合があります。店舗併用住宅で電気代を見直すときは、家庭側と店舗側を分けて考えましょう。
たとえば、住居側の電灯契約を見直して月数百円下がっても、店舗側の動力基本料金や業務用エアコンの使用量が大きければ、全体の削減効果は小さいかもしれません。
逆に、店舗側の営業時間や設備稼働を整理することで、動力側の契約内容を確認しやすくなる場合があります。電気代全体を見るには、電灯と動力の両方を一覧にすることが大切です。
見直し前のチェックリスト
- 請求書が1契約か2契約か
- 契約種別に従量電灯・低圧電力・動力があるか
- 契約電力や契約容量はいくつか
- 業務用エアコンや三相200V機器があるか
- 動力機器の使用時間と季節差
- 使っていない設備や契約が残っていないか
- 店舗と住居の使用量を分けて把握できるか
- 今後の設備増設予定があるか
特に、設備を撤去した、業態を変えた、営業時間を短くした、厨房機器を入れ替えた場合は、契約内容が現在の使い方に合っているか確認しましょう。

動力契約を見直すときの注意点
動力契約は、家庭用電気のように簡単な料金比較だけで判断しにくい場合があります。契約電力の決め方、設備容量、主開閉器、使用する機器の種類などが関係するためです。
契約を下げたい、動力を廃止したい、電灯にまとめたいと考える場合でも、設備がそのまま使えるか、安全上問題がないかを確認する必要があります。電気工事が関係する場合は、自己判断で進めず、専門業者や電力会社に確認しましょう。
また、店舗の電気契約は事業経費にも関係します。住居と店舗の電気代を分けたい場合は、契約やメーターの分け方も含めて確認するとよいでしょう。
店舗併用住宅では契約が2つになる場合がある
店舗併用住宅や小規模店舗では、家庭用の照明やコンセントに使う電灯契約と、業務用エアコン、ポンプ、冷蔵機器などに使う動力契約が分かれている場合があります。請求書が2枚に分かれていたり、同じ住所でも契約番号が別になっていたりします。

この場合、家庭の電気代だけを見直しても、店舗側の動力契約には影響しないことがあります。逆に、動力契約の基本料金や契約電力を見直したほうが効果が出る場合もあります。
電灯と動力は、まとめて同じものとして比較しないことが大切です。用途、電圧、契約方法、料金体系が違うため、別々に明細を確認します。
動力契約は設備の使い方も確認する
動力契約では、業務用設備の種類や使い方が料金に関係します。大きな機器を使わなくなった、営業時間が短くなった、機器を入れ替えた、季節によって稼働が大きく変わる、といった場合は契約内容の確認が必要です。

ただし、契約電力をむやみに下げると、必要な設備を動かせない、契約条件に合わない、工事や確認が必要になる可能性があります。料金だけで判断せず、設備の容量や使用状況を確認しましょう。
店舗では、電気代の見直しが営業に影響することがあります。冷蔵庫、空調、ポンプなど、止められない設備がある場合は、節約よりも安定利用を優先して考える必要があります。
よくある疑問
家庭用の電灯契約と店舗用の動力契約は、同じ電力会社で契約していても別契約として扱われる場合があります。切替やプラン変更を考えるときは、どちらの契約を変更するのかを明確にしましょう。
動力を使っているか分からない場合は、請求書の契約種別、ブレーカーや分電盤、設備の仕様を確認します。業務用エアコンや厨房機器を使う店舗では、電灯だけでなく動力契約が関係している可能性があります。
明細ではどこを見ると分かりやすいか
電灯と動力の違いを確認するときは、請求書やWeb明細の契約種別を見ます。従量電灯、低圧電力、動力、契約電力、契約容量などの表記があれば、家庭用と業務用の契約が分かれている可能性があります。
同じ住所で請求が2つある場合は、それぞれの使用量と基本料金を見ます。動力契約は使用量が少ない月でも基本料金がかかるため、設備をあまり使っていないのに請求が高く感じることがあります。
契約名だけで分からない場合は、設備と分電盤も確認します。三相200Vの業務用設備がある場合、動力契約が関係していることがあります。
小規模店舗で見直すときの進め方
小規模店舗で電気契約を見直すときは、まず営業に必要な設備を洗い出します。冷蔵庫、冷凍庫、業務用エアコン、ポンプ、厨房機器など、止められない設備がある場合は、料金だけでなく安定して使えることを優先します。
次に、営業時間、季節差、休業日の使用量を確認します。使用量が少ないのに基本料金が大きい場合は契約内容の確認が必要ですが、設備容量に合わない変更は避けます。店舗の電気契約は生活用より影響範囲が広いため、分からないまま切り替えず、明細と設備情報をそろえて相談するのが安心です。
家庭用の感覚だけで店舗契約を見ない
店舗併用住宅や小規模店舗の電気契約は、家庭用の節約術だけでは判断しにくいことがあります。営業時間、業務用機器、季節需要、休業日の待機電力など、家庭とは違う使い方があるためです。
たとえば、冷蔵・冷凍設備は営業時間外も止められないことが多く、使用量を単純に減らせません。空調も来客環境や商品管理に関係します。料金を下げることだけを優先すると、営業に必要な快適性や安全性を損なうことがあります。
そのため、電灯と動力を分けて明細を見て、どの契約がどの設備に対応しているかを確認してから見直します。
電灯と動力は、名前が似ていても確認する資料や判断基準が違います。家庭部分と店舗部分を分けて見るだけで、どの契約を見直すべきか、どの設備は触らないほうがよいかが整理しやすくなります。
まとめ|電灯と動力は分けて見直す
電灯と動力は、使う機器と電気方式が違うため、契約や料金の見方も異なります。店舗併用住宅や小規模店舗では、住居側の電灯契約だけでなく、店舗側の動力契約も確認しましょう。
請求書、契約種別、契約電力、設備の使用状況を整理すると、どこを見直すべきか分かりやすくなります。判断が難しい場合は、請求書と設備情報をそろえて相談すると、無理のない確認につながります。

