給湯器の見積書に「エコジョーズ」と書かれていても、従来型と何が違うのか、自宅に必要なのかまでは分かりにくいものです。高効率という言葉だけを見ると、エコジョーズを選べば必ず得になるように感じるかもしれません。
エコジョーズは、これまで外へ捨てていた排気熱を再利用し、少ないガスで効率よくお湯を作りやすくした給湯器です。ただし、ドレン排水の経路が必要で、本体や工事の費用、お湯の使用量、設置場所、今後の居住期間によっては従来型も選択肢になります。
この記事では、機械の仕組みだけでなく、一般家庭の暮らしと設置条件に置き換えて、エコジョーズと従来型の選び方を解説します。現在の給湯器や配管の状態が分からない場合は、給湯器本体、型式ラベル、本体下部、設置場所の写真があると確認しやすくなります。
エコジョーズとは?従来型との違いを先に確認

エコジョーズとは、給湯器から出る排気の熱を再利用する「潜熱回収型」のガス給湯器です。従来型では外へ逃がしていた熱を使って、水をあらかじめ温めてから本格的に加熱します。
資源エネルギー庁の省エネ情報では、給湯時の熱効率について、従来型は約80%、潜熱回収型は約95%と説明されています。これは仕組みを理解するための代表的な目安で、実際の効率は機種や運転条件によって異なります。
エコジョーズは捨てていた熱をもう一度使う給湯器
家庭での使い方は、従来型と大きく変わりません。蛇口を開ければお湯が出て、ふろ給湯器なら湯はりや追いだきもできます。主な違いは、お湯を作る過程で排気熱を再利用することです。
従来型との主な違いは熱の使い方とドレン排水
| 比較項目 | 従来型 | エコジョーズ |
|---|---|---|
| 排気熱 | 多くを外へ排出する | 一部を再利用する |
| ガス使用量 | 基準となる | 同じ量のお湯なら抑えやすい |
| ドレン排水 | 通常は不要 | 排水経路の確保が必要 |
| 交換時の確認 | 設置・排気・配管など | 左記に加えてドレン排水先 |
本体の見た目だけでは判断しにくい
エコジョーズと従来型は、本体の外観が似ていることがあります。現在の給湯器がどちらか知りたいときは、見た目だけで断定せず、型式ラベル、取扱説明書、設置記録、本体下部の排水配管を確認しましょう。
エコジョーズでガスの使用量を抑えやすい仕組み

従来型の給湯器は、ガスを燃焼させた熱で水を温め、そのときに生じる高温の排気を屋外へ出します。エコジョーズは、その排気をすぐに捨てず、二次熱交換器を通して給水を予熱します。
排気熱で水をあらかじめ温める
たとえば、冷たい水を一度に希望温度まで温めるより、捨てる予定だった熱で少し温めてから加熱したほうが、必要なガスを減らしやすくなります。エコジョーズはこの考え方を給湯器の中で行っています。
同じ量のお湯を少ないガスで作りやすい
シャワー、浴槽への湯はり、キッチンや洗面のお湯など、家庭で使う給湯量が同じであれば、従来型よりガス消費を抑えやすいことがエコジョーズの特徴です。
ただし、給湯器を交換したあとにシャワー時間が長くなったり、湯はりの回数が増えたりすれば、家庭全体のガス使用量が必ず減るとは限りません。
感じられる差は使用量と契約料金で変わる
ガス使用量が多い家庭ほど、効率の違いが年間使用量へ反映されやすい傾向があります。一方、お湯をほとんど使わない家庭では、初期費用との差を実感するまでに時間がかかることがあります。
都市ガスかLPガスか、契約している料金プラン、地域、季節、水温、設定温度などでも金額は変わるため、「年間で必ずいくら下がる」と一律には判断できません。
エコジョーズのメリット

エコジョーズのメリットは、給湯に必要なガスを抑えやすいことです。ただし、メリットの大きさは家族人数だけではなく、実際のお湯の使い方によって変わります。
給湯に使うガスの量を抑えやすい
毎日浴槽へ湯はりする、家族それぞれがシャワーを使う、キッチンでもお湯をよく使う家庭では、給湯量が多くなります。同じ生活を続ける場合、効率の高い給湯器ほどガス消費を抑えやすくなります。
排気熱と二酸化炭素の排出を抑えやすい
排気熱を再利用するため、従来型より屋外へ捨てる熱を減らせます。使用するガス量が抑えられれば、その分、給湯に伴う二酸化炭素の排出も抑えやすくなります。
お湯の使用量が多い家庭ほど効果を感じやすい傾向
家族が多い家庭は候補になりやすいものの、人数だけでは決まりません。二人暮らしでも毎日湯はりをしてシャワーを長く使う家庭もあれば、四人家族でも短時間のシャワーが中心の家庭もあります。
床暖房や浴室暖房などをガス温水暖房で利用している場合は、給湯だけでなく暖房の使用状況も含めて、対応する給湯暖房機を比較する必要があります。
長く使用する予定なら費用差を考えやすい
交換時の費用が従来型より高くても、その住宅で長く使う予定があり、お湯の使用量も多ければ、使用期間全体で比較しやすくなります。反対に、近い将来に転居や建て替えを予定している場合は、初期費用を重視する考え方もあります。
エコジョーズのデメリットと注意点

エコジョーズは高効率ですが、交換時に確認する項目が従来型より増えます。デメリットを「設置できない理由」と決めつけるのではなく、見積もり前に確認すべき条件として整理しましょう。
本体価格や工事費が高くなる場合がある
同じ号数や機能で比べると、エコジョーズの本体価格が従来型より高くなる場合があります。さらに、ドレン排水配管や専用部材が必要になると、工事費にも差が出ます。
ドレン排水のための工事が必要
エコジョーズでは、排気熱を回収する過程で水が発生します。この水を適切な場所へ流すため、給湯器から排水先までの経路を確保しなければなりません。
設置場所によって追加工事や機種変更が必要になる
戸建てでも、給湯器の近くに排水先がない、通路が狭い、隣地との距離が近いといった条件があります。マンションでは、パイプスペースやベランダの形状、共用部分、管理規約なども関係します。
専用部材や集合住宅向けの排水方式を利用できる場合もありますが、すべての建物や機種に共通して使えるわけではありません。現在の設置方法を整理したい場合は、給湯器の設置タイプの違いと確認方法も参考にしてください。
お湯の使用量が少ないと費用差を感じにくいことがある
一人暮らしでシャワー時間が短い、浴槽へほとんど湯はりしないなど、給湯量が少ない家庭では、ガス使用量の差が小さくなる可能性があります。その場合は、交換時の総額と今後の使用期間も含めて比較しましょう。
中和器という消耗部品がある
エコジョーズで生じるドレン水は、そのままでは酸性を示すため、機器内の中和器を通してから排水されます。中和器は使用に伴って消耗する部品です。交換時期やエラー表示は機種や使用状況によって異なるため、取扱説明書やメーカーの案内に従います。
ドレン排水とは?設置前に確認したいこと

ドレン排水は、エコジョーズを選ぶときに初めて聞く人が多い言葉です。これは給湯器の水漏れではなく、排気に含まれる水蒸気が熱を回収される過程で水になったものです。
排気熱を回収するとドレン水が発生する
温かい空気が冷やされると水滴ができるように、エコジョーズでは排気から熱を取り出すと結露水が発生します。お湯を多く使うほど運転時間が長くなるため、発生する水の量も使用状況によって変わります。
機器内で中和してから排水する
メーカーの公式説明では、ドレン水は機器内の中和器を通して中和したうえで排水されると案内されています。飲用や生活用水として再利用する水ではありません。
排水方法は住宅条件と地域の取扱いによって異なる
ドレン水の排水先には、汚水・雑排水系統、雨水系統、専用の排水経路などが考えられます。ただし、どこへ流してよいかは建物の構造、施工方法、自治体の下水道の取扱いなどによって異なります。
資源エネルギー庁も、潜熱回収型給湯器のドレン排水について、雨水系統への排出を一定条件で認めている地方公共団体の情報を公開しています。これは全国一律に雨どいへ接続してよいという意味ではないため、施工を依頼する事業者による確認が必要です。
戸建てと集合住宅では確認項目が異なる
戸建てでは、給湯器から排水先までの距離、配管の勾配、通路や地面の状態などを確認します。集合住宅では、ベランダや共用廊下に水を流してよいか、共用部分へ配管を設けられるか、管理規約に制限がないかも確認します。
賃貸住宅の場合は、入居者の判断だけで交換や配管工事を進めず、まず大家さんや管理会社へ連絡してください。
写真だけで判断できない場合は現地確認が必要
給湯器本体、本体下部、地面や排水口まで入る周辺写真があると、ドレン排水の候補を整理しやすくなります。ただし、写真では配管の行き先や勾配まで分からないことがあるため、最終的には現地確認が必要になる場合があります。
エコジョーズが向いている家庭

エコジョーズは、お湯を使う量が多く、今後も同じ住宅で長く使用する家庭ほど比較しやすい給湯器です。ただし、家族人数だけで向き・不向きは決まりません。
シャワーや湯はりでお湯を多く使う
毎日浴槽へ湯はりする、朝と夜にシャワーを使う、キッチンや洗面でもお湯をよく使う家庭は、給湯器の運転時間が長くなります。効率の違いが使用量へ反映されやすいため、エコジョーズを検討しやすい家庭です。
家族の入浴時間が分かれている
家族の帰宅時間が異なり、湯はり、追いだき、シャワーを長い時間帯にわたって使う家庭では、お湯の使用量が増えやすくなります。
同じ住宅に長く住む予定がある
初期費用の差だけでなく、今後の使用期間を含めて考えられる家庭です。居住予定が長く、お湯の使用量も多ければ、従来型との違いを比較する意味が大きくなります。
給湯暖房機で床暖房や浴室暖房を使っている
ガス温水式の床暖房や浴室暖房乾燥機を使っている場合は、現在の給湯器が給湯暖房機である可能性があります。交換時は給湯だけでなく、接続されている暖房設備も含めて機種を選びます。
家族人数だけで決めない
給湯器選びでは、人数と一緒に号数も確認します。複数の場所で同時にお湯を使う家庭は、給湯器の号数の選び方も参考にしてください。
従来型も選択肢になる家庭

エコジョーズが高効率だからといって、すべての家庭で従来型を避ける必要はありません。生活状況や設置条件に合っていれば、従来型も現実的な選択肢です。
お湯の使用量が比較的少ない
浴槽への湯はりをほとんどせず、短時間のシャワーが中心で、キッチンでもお湯をあまり使わない家庭では、効率差によるガス使用量の違いが小さくなる可能性があります。
交換時の初期費用を優先したい
急な故障で交換が必要になり、まず交換時の負担を抑えたい場合は、従来型を含めて比較する考え方があります。ただし、広告の本体価格だけでなく、必要な工事を含む総額で比べましょう。
住宅を使用する期間が短い
近い将来に転居、売却、建て替えを予定している場合は、長期間の使用を前提とした比較が合わないことがあります。予定が確定していない場合でも、今後何年ほど使う可能性があるかを考えておくと判断しやすくなります。
ドレン排水の施工が難しい
排水先を確保できない、共用部分へ工事できない、管理規約で制限されているなど、エコジョーズの設置が難しい場合があります。機種や専用部材で対応できることもあるため、写真や現地確認なしに設置不可と決めつける必要はありません。
賃貸や管理規約の制約がある
賃貸住宅では設備の所有者が貸主であることが多いため、入居者が機種を自由に決められない場合があります。分譲マンションでも、給湯器の外観、色、排気方向、設置方法などが規約で定められていることがあります。
エコジョーズと従来型の費用差をどう考える?

費用を比較するときは、本体の販売価格だけを見るのではなく、交換完了までに必要な総額と、今後の使用量・使用期間を合わせて考えます。
本体価格ではなく交換に必要な総額を見る
見積書では、次の項目が含まれているか確認しましょう。
- 給湯器本体
- 台所・浴室リモコン
- 基本交換工事
- ドレン排水工事
- 排気・配管などの追加部材
- 既存機器の撤去・処分
- 出張費や搬入費などの条件
使用量と使用予定年数で費用差の意味が変わる
お湯を多く使い、長期間使用する家庭と、使用量が少なく短期間だけ使う家庭では、同じ差額でも意味が変わります。「何年で元が取れるか」は、機器の差額、ガス料金、使用量がそろわないと計算できません。
同じ号数・機能・工事条件で比較する
従来型とエコジョーズを比較するときは、号数、給湯専用か追いだき付きか、オートかフルオートか、暖房機能の有無などをそろえます。条件の異なる見積書を比べると、エコジョーズによる差額なのか、機能差なのかが分からなくなります。
広告の本体価格だけで決めない
広告価格には、リモコンや標準工事が含まれていない場合があります。設置後に必要な追加費用まで含めて判断するため、給湯器の交換費用と見積もりの見方も参考にしてください。
現在の給湯器がエコジョーズか確認する方法

現在の給湯器がエコジョーズか分かると、同じ種類で交換する場合と、従来型から変更する場合の確認項目を整理しやすくなります。
本体の型式ラベルを確認する
給湯器本体の正面または側面には、メーカー名、型式、製造年月などが記載されたラベルがあります。文字が小さいため、近づきすぎず、スマートフォンのズームを使って撮影すると確認しやすくなります。
安全を優先してください。
高所、狭い場所、足場が不安定な場所では無理に撮影しないでください。機器のカバーを開ける必要もありません。
給湯器下部の排水配管を見る
エコジョーズでは、本体下部から細いドレン排水管が伸びていることがあります。ただし、ほかの配管と見分けにくい場合や、配管がカバー内に隠れている場合もあるため、排水管らしきものが見えないだけで従来型とは断定できません。
取扱説明書・見積書・設置記録を確認する
給湯器交換時の見積書、保証書、取扱説明書が残っていれば、「エコジョーズ」「潜熱回収型」などの記載を確認します。型式をメーカー公式サイトで確認する方法もあります。
見た目だけで断定しない
外観や本体の色だけでは、給湯器の種類を正確に判別できません。型式全体が分かる写真を残しておくと、後継機種や設置条件を確認しやすくなります。
交換時期も一緒に確認する
製造年月や使用開始時期が分かったら、現在の症状と合わせて交換時期を考えます。詳しくは、給湯器の交換時期と寿命の目安をご確認ください。
エコジョーズを選ぶときに確認したいチェック項目

見積もりを依頼する前に、次の項目を分かる範囲で整理しておくと、エコジョーズと従来型を比較しやすくなります。すべてを自分で判断する必要はありません。
家族とお湯の使い方
- 家族人数
- 浴槽へ湯はりする頻度
- シャワーを使う人数と時間帯
- 追いだきの頻度
- キッチンや洗面でのお湯の使用量
- 床暖房・浴室暖房など温水暖房の有無
- 今後の居住予定
現在の給湯器と設置場所
- 給湯器本体の型式
- 号数
- 給湯専用・追いだき付き・給湯暖房機のどれか
- オート・フルオートのどちらか
- 戸建て・集合住宅のどちらか
- 壁掛け・据置き・パイプスペースなどの設置方式
- 給湯器周辺の広さ
- ドレン排水先の候補
オートとフルオートの違いを整理したい場合は、給湯器のオートとフルオートの違いも確認してください。
交換前に確認する項目をまとめて整理したい場合は、給湯器交換前のチェックリストも参考にしてください。
見積書の内容
- 本体とリモコンの型式
- 基本工事に含まれる範囲
- ドレン排水工事の内容
- 追加部材と追加費用
- 既存機器の撤去・処分
- 現地確認後に金額が変わる条件
- 商品保証と工事保証の対象・期間
見積書に不明な項目があれば、総額だけを見るのではなく、「なぜ必要な工事なのか」を確認しましょう。
エコジョーズに関するよくある質問
エコジョーズにすると必ずガス代が下がりますか?
同じ量のお湯を使う場合は、従来型よりガス使用量を抑えやすくなります。ただし、ガス料金、使用量、設定温度、季節、交換後の使い方によって請求額は変わるため、必ず下がるとは断定できません。
エコジョーズは運転音が大きいですか?
燃焼音、ファンの音、作動音などは機種や設置環境によって異なります。エコジョーズだから一律に大きいとは限りませんが、寝室や隣家の窓に近い場所では、設置位置や排気方向を確認することが大切です。
マンションでもエコジョーズを設置できますか?
設置できる場合があります。集合住宅向けの機種やドレン排水方式もありますが、パイプスペースの寸法、排気方法、排水経路、管理規約によって条件が変わります。賃貸では管理会社や貸主への確認が必要です。
従来型から交換すると追加工事が必要ですか?
ドレン排水配管が新たに必要になるため、追加工事が発生することがあります。現在の配管や設置場所を利用できる場合もあるので、写真や現地確認をもとに判断します。
ドレン排水の水は汚れていますか?
排気中の水蒸気が結露した水で、機器内の中和器を通して排水されます。ただし、飲用や掃除などに使う水ではありません。施工基準や地域の取扱いに沿って排水します。
エコジョーズは従来型より故障しやすいですか?
エコジョーズか従来型かだけで故障しやすさを一律に判断することはできません。エコジョーズには二次熱交換器や中和器など従来型と異なる部分がありますが、故障は機種、使用環境、使用頻度、設置状態、手入れなどにも左右されます。
現在と違うメーカーの給湯器へ交換できますか?
設置条件や必要な機能が合えば、別メーカーが候補になる場合があります。ただし、リモコンは給湯器本体に対応するものへ交換するのが一般的です。配管、排気、暖房設備、集合住宅の指定なども確認します。
まとめ|費用だけでなく使い方と設置条件で選びましょう
エコジョーズは、従来は捨てていた排気熱を再利用し、少ないガスで効率よくお湯を作りやすくした給湯器です。お湯の使用量が多く、今後も長く住む予定の家庭では、有力な候補になります。
一方で、ドレン排水の経路が必要で、設置場所によっては追加工事や専用部材が必要です。お湯の使用量が少ない、使用予定期間が短い、排水工事が難しいといった場合は、従来型も選択肢になります。
- 家族人数だけでなく、実際のお湯の使用量を見る
- 本体価格ではなく、必要な工事を含む総額を比べる
- ドレン排水先と設置スペースを確認する
- 戸建て・集合住宅・賃貸などの条件を確認する
- 現在の型式と設置状況の写真を用意する
現在の給湯器がエコジョーズか分からない場合や、自宅に設置できるか判断できない場合は、無理に調べ切る必要はありません。写真から確認できることもあります。
現在の給湯器、型式ラベル、配管、設置場所などの写真を添付してご相談いただけます。
エコジョーズを設置できるか分からない場合も、分かる範囲で構いません。

