大きな地震が起きたあと、
「ガスはすぐ止めた方がいい?」
「ガスメーターが止まっているけれど、復帰して大丈夫?」
「ガスが普通に使えるなら、そのまま使っていい?」
「避難するときはガスをどうすればいい?」
と迷うことがあります。
地震や災害時のガス対応で最初に覚えておきたいのは、ガスの操作よりも自分や家族の安全確保が先ということです。
基本となる順序は、
地震発生
↓
まず身の安全を確保
↓
揺れがおさまってから周囲を確認
↓
ガス臭や設備の異常がないか確認
↓
安全が確認できない場合は操作・使用しない
↓
安全を確認できてから次の行動
です。
この記事では、都市ガスとプロパンガス(LPガス)の両方を対象に、地震や災害が起きてから再びガスを安全に使えるようになるまでの確認ポイントを分かりやすく解説します。
最初に確認してください
ガス臭がする、ガス漏れが疑われる、ガス機器・配管・給排気設備などが破損している、安全かどうか判断できないといった場合は、ガスメーターの復帰やガス機器の再点火を行わないでください。安全な場所から契約しているガス会社・プロパンガス販売事業者等の緊急窓口へ連絡してください。
地震が起きたら、まず身の安全を確保する
地震の揺れを感じると、「コンロを消さなければ」と、すぐ火元へ向かいたくなるかもしれません。
しかし、強い揺れの中を移動すると、家具や家電の転倒、落下物、割れたガラスなどによってけがをするおそれがあります。
揺れている最中は無理にガス機器へ近づかない
地震が発生したら、まず自分と家族の安全を確保してください。
机の下など安全を確保できる場所へ移動し、強い揺れがおさまるのを待ちます。
「地震が起きたら、揺れている最中でも必ずコンロまで行って火を消す」必要はありません。
火元の確認よりも、まずけがをしないことが重要です。
揺れがおさまってから火元を確認する
揺れがおさまり、安全に移動できることを確認してから、使用していたガス機器の状態を確認します。
使用中だったコンロや暖房機器などは、安全に操作できる状態であれば停止します。
詳しい地震時の安全行動については、日本ガス協会「もしも地震や台風などの自然災害がおきたら」でも確認できます。
建物の損傷が大きい、津波や火災が迫っている、余震が続いているなどの場合は、ガス設備を確認するためにその場へとどまらず、避難を優先してください。
【早見表】地震・災害時のガス安全チェック

地震や災害時に迷ったときは、次の順序を基本に考えてください。
| 状況 | 基本的な行動 |
|---|---|
| 揺れている最中 | ガス機器へ無理に近づかず、まず身の安全を確保する |
| 揺れがおさまったあと | 安全に移動できる場合に使用中のガス機器を止め、周囲を確認する |
| ガス臭がする | 点火やメーター復帰を行わず、安全な場所からガスの緊急窓口へ連絡する |
| ガスが止まっている | すぐに復帰せず、ガス臭・設備異常・供給停止情報などを確認する |
| 設備が破損・浸水している | 使用せず、ガス会社・販売店・メーカー等へ確認する |
| 避難する | 避難を最優先し、安全にできる範囲だけ公式案内に沿って対応する |
| 供給が復旧した | 住宅側のガス機器・給排気設備なども確認してから使用する |
地震のあとにガスを使う前に確認したいこと

地震後にガスが止まっていなかったとしても、「ガスが出る=設備に異常がない」とは限りません。
ガス機器を再び使用する前に、安全な範囲で周囲の状態を確認しましょう。
ガス臭がしないか
最初に確認したいのがガス臭です。
ガス臭を感じる場合は、コンロや給湯器を点火して確認したり、ガスメーターを復帰させたりしないでください。
また、ガス臭がする場所では、照明や換気扇などの電気スイッチを新たに操作することも避けます。
詳しい対応は、「ガス臭いときはどうする?屋内・屋外での正しい対応とやってはいけないこと」で確認してください。
ガス機器や配管周辺に異常がないか
安全な場所から目で見て、
- ガス機器が倒れたり大きく動いたりしていないか
- 機器本体が変形・破損していないか
- 配管や接続部分に明らかな異常がないか
- 周囲の落下物などがガス設備へ当たっていないか
を確認します。
異常が見つかっても、自分で機器を元の位置へ戻したり、接続部分を締め直したりする必要はありません。
給排気設備などに異常がないか
給湯器や煙突を使用する機器では、地震や台風などによって給排気設備がずれたり、外れたりすることがあります。
外から確認できる範囲で、
- 給排気設備が外れていないか
- 大きく変形していないか
- 排気口・給気口が落下物などでふさがれていないか
を確認してください。
屋外給湯器やガス機器が浸水した場合も、そのまま使用せず、メーカー・販売店・ガス事業者等へ確認します。
安全か判断できない場合は使用しない
見た目だけでは判断できない異常もあります。
「配管が少し動いたように見える」「地震後から給湯器の音が変わった」「安全なのか自信がない」という場合は、無理に使用を再開しないでください。
地震でガスメーターがガスを止めることがある
家庭のガスメーターには、使用したガス量を計測するだけでなく、安全監視を行う機能があります。
都市ガスのマイコンメーターでは、一定以上の強い揺れなどを検知した場合にガスを自動で遮断する仕組みがあります。
詳しくは、日本ガス協会「ガスが止まったら」で確認できます。
プロパンガス用のマイコンメーターにも、地震などを検知してガスを遮断する安全機能を持つものがあります。
ただし、
「地震があった=必ずすべての家庭でガスが止まる」
というわけではありません。
揺れの状態やメーターの種類、ガスの使用状況などによって異なります。
地域全体でガス供給が止まる場合もある
大規模な地震では、家庭のマイコンメーターとは別に、都市ガス事業者が地域単位でガス供給を停止する場合があります。
この状態では、家庭のガスメーターを操作してもガスは供給されません。
大規模災害後にガスが出ない場合は、自宅のメーターだけでなく、契約しているガス会社の公式サイトや復旧情報も確認してください。
ガスメーターが止まっていても、すぐ復帰操作をしない

地震後にガスが出なくなると、「ガスメーターを復帰すれば使えるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、地震後は復帰操作より先に安全確認を行うことが重要です。
復帰操作の前に確認すること
少なくとも、次のような点を確認します。
- ガス臭がしないか
- ガス機器が倒れたり破損したりしていないか
- 配管・接続部分に明らかな異常がないか
- 給気口・排気口・煙突などに異常がないか
- 建物自体に大きな損傷がないか
- ガス会社から地域の供給停止情報が出ていないか
安全が確認できない場合は復帰しない
ガス臭がする、設備が破損している、建物の損傷が大きいなどの場合は、ガスメーターを復帰しないでください。
安全かどうか判断できない場合も、自分で復帰させるのではなく、契約しているガス会社・プロパンガス販売事業者などへ確認します。
ガスメーターの復帰前に確認したい内容と実際の復帰については、「ガスメーターでガスが止まったときは?復帰前に確認したい安全ポイント」で詳しく解説しています。
ガス臭がするときは復帰操作をしない
地震後にガス臭を感じる場合は、通常のガスメーター遮断とは分けて考えてください。
ガスメーターがガスを止めているように見えても、
- メーターを復帰する
- コンロを点火して確認する
- 給湯器を試運転する
- 漏れている場所を自分で探す
といった行動は避けます。
また、ガス臭がする場所では、照明・換気扇などの電気スイッチやコンセントの抜き差しなども行わないでください。
「ガス臭いときはどうする?屋内・屋外での正しい対応とやってはいけないこと」では、屋内・屋外それぞれの対応を詳しく説明しています。
避難するときのガスはどうする?

避難が必要な状況では、ガス設備の操作より避難を優先してください。
津波、火災、建物の倒壊、土砂災害などの危険が迫っている場合に、ガスを止めるために危険な場所へ戻る必要はありません。
都市ガスの場合
都市ガスについては、ガス事業者から、避難時に安全にできる範囲でガス栓やメーターの元栓などを閉める案内が出ている場合があります。
たとえば東京ガスネットワークでは、地震などの際の対応について公式情報を公開しています。
東京ガスネットワーク「地震や台風などの自然災害がおきたときは」
ただし、安全に操作できない場合や、避難を急ぐ必要がある場合は、操作のためにその場へとどまらないでください。
プロパンガスの場合
プロパンガスでは、器具栓・ガス栓・メーターガス栓・LPガス容器のバルブなど、都市ガスとは設備構成が異なります。
LPガス安全委員会では、避難するときに可能であれば器具栓、ガスの元栓、メーターガス栓、容器バルブを閉めるよう案内しています。
ただし、ボンベが倒れている、接続部分が破損している、ガス臭がするなど、安全に近づけない状態では、無理にLPガス容器へ近づいて操作しないでください。
「全部のガス設備を操作し終わるまで避難してはいけない」という意味ではありません。
災害後にガスが復旧してもすぐ使ってよいとは限らない
ガス会社から「供給再開」の情報が出た場合でも、住宅側のガス機器や設備まで必ず正常とは限りません。
再使用前には、
- ガス臭がしないか
- ガス機器が変形・破損していないか
- 給排気設備が外れたりふさがれたりしていないか
- 配管・接続部に明らかな異常がないか
- ガス機器が浸水していないか
を確認してください。
異常が確認できる場合や、安全か判断できない場合は使用せず、メーカー・販売店・ガス事業者等へ点検を依頼します。
行政やガス会社から地域ごとの案内が出ている場合は、その指示を優先してください。
地震後に自分でやってはいけないこと
地震のあとに「早く元の生活に戻したい」と思っても、安全確認を省略してガス設備を操作するのは避けましょう。
特に次のような行動はしないでください。
- 揺れている最中に無理にコンロまで移動する
- ガス臭がする状態でコンロや給湯器を点火する
- ガス臭がする状態でガスメーターを復帰する
- 安全確認をせず何度も復帰操作を繰り返す
- 破損したガス機器を試しに使う
- 給湯器やガス機器を自分で分解する
- 外れた配管や接続部分を自分で締め直す
- 浸水したガス機器をそのまま使用する
- 安全か分からない状態で使用を再開する
一般の利用者が行うのは、基本的に「見る・確認する・公式情報を確認する」範囲です。
修理・分解・ガス接続などが必要な場合は、専門側へ任せましょう。
地震でガスが止まったときの復帰方法について
この記事では、ガスメーターの詳しい復帰手順を重複して説明しません。
地震後に最も大切なのは、
「どうやって復帰するか」より「今は復帰してよい状態なのか」
を判断することだからです。
ガス臭や設備異常がなく、周囲の安全を確認でき、ガス会社から供給停止の案内も出ていない場合に、契約先やメーカーの案内に沿って次の確認へ進みます。
復帰前の安全確認や実際の復帰方法については、「ガスメーターでガスが止まったときは?復帰前に確認したい安全ポイント」をご覧ください。
地震後にガスメーターの表示を確認したい場合
ガスメーターが遮断したときには、ランプや液晶表示などから状態を確認できる場合があります。
ただし、都市ガス用とプロパンガス用ではメーターの仕様が異なり、メーカー・型式によって表示方法も違います。
都市ガス用マイコンメーターの場合
都市ガスでは、マイコンメーターのランプなどから遮断状態を確認できる機種があります。
詳しい表示と復帰方法については、使用しているメーターの案内や契約しているガス会社の公式情報を確認してください。
プロパンガスメーターの場合
プロパンガス用マイコンメーターでは、地震による遮断表示のほか、B・BR・Aなど、ガスが止まっていない状態でも警告が表示される機種があります。
プロパンガスメーターの表示については、「プロパンガスメーターの表示の見方」で詳しく解説しています。
他メーカーの表示表だけを見て、自宅のメーターの原因を断定しないようにしてください。
停電中でもガス機器は使える?
停電したからといって、すべてのガス機器が同じ状態になるわけではありません。
給湯器など、コンセントから電気を使用して制御・点火するガス機器は、停電中に使用できない場合があります。
一方、電気を使用しないタイプのガス機器でも、停電中は換気扇が動かないなど、通常とは使用環境が変わります。
「ガスが来ているから使える」とだけ判断せず、使用している機器の取扱説明書やメーカーの停電時案内を確認してください。
家庭でガス機器を安全に使用する基本については、ガス機器の安全な使い方について解説したLSGの記事もあわせて確認できます。
地震・災害時のガスに関するよくある質問
地震が起きたらすぐガスを止めるべきですか?
揺れている最中に無理にガス機器へ近づかないでください。
まず自分と家族の身の安全を確保し、揺れがおさまって安全に移動できるようになってから、使用していたガス機器などを確認します。
地震でガスが止まるのは故障ですか?
故障とは限りません。
マイコンメーターには、一定以上の強い揺れなどを検知した場合にガスを遮断する安全機能があります。
地震後にガスが止まった場合は、故障と決めつけず、まずメーターの状態と周囲の安全を確認してください。
ガスメーターは地震を検知すると必ず止まりますか?
すべての地震で必ず止まるわけではありません。
揺れの大きさやガスの使用状況、メーターの種類・仕様などによって異なります。
地震後にガスが使えるならそのまま使っていいですか?
すぐに使用を再開するのではなく、ガス臭、ガス機器の破損、配管周辺、給排気設備などに異常がないか確認してください。
安全かどうか判断できない場合は使用を控え、ガス会社やメーカー等へ確認しましょう。
ガス臭がするときにガスメーターを復帰していいですか?
復帰しないでください。
ガス臭がする状態では、ガスメーターの復帰やガス機器の点火をせず、安全確保を優先してください。
安全な場所から契約しているガス会社・プロパンガス販売事業者等の緊急窓口へ連絡します。
停電中でもガス機器は使えますか?
機器によって異なります。
電気を使って動作する給湯器などは、停電中に使用できない場合があります。
また、停電時は換気扇なども停止するため、使用できるガス機器であっても通常時とは条件が異なります。取扱説明書やメーカー案内を確認してください。
避難するときはガスをどうすればいいですか?
避難を遅らせないことが最優先です。
安全にできる状況であれば、都市ガス・プロパンガスそれぞれの公式案内に沿ってガス栓などを閉めます。
ガス臭、設備破損、火災、津波などの危険がある場合は、操作のためにその場へ残ったり戻ったりしないでください。
ガスが復旧したらすぐ給湯器を使っていいですか?
給湯器本体や給排気設備、周囲の接続部分などに異常がないことを確認してから使用します。
浸水・変形・破損などがある場合は使用せず、メーカー・販売店・ガス事業者等へ点検を依頼してください。
まとめ|地震のあとは復帰操作より安全確認を優先する
地震や災害が起きたとき、最初に考えるのはガスメーターの復帰ではありません。
基本となる順序は、
身の安全を確保する
↓
揺れがおさまってから周囲を確認する
↓
ガス臭・ガス機器・配管・給排気設備などを確認する
↓
異常があればガスを使用しない
↓
安全が確認できてから復帰や再使用を考える
です。
ガス臭がする場合は、ガスメーターを復帰したり、コンロや給湯器を点火したりしないでください。
また、地震後にガスが使える状態でも、住宅側の設備に異常がないことを確認することが大切です。
大規模災害では地域全体のガス供給が停止している場合もあるため、契約しているガス会社や行政から最新の案内が出ている場合は、その指示を優先してください。
災害後の住宅設備について相談先に迷うときは
ガス臭、ガス漏れ、火災など緊急性がある場合は、LSGへの一般相談より、契約しているガス会社・プロパンガス販売事業者等の緊急窓口や、状況に応じた公的な緊急機関への連絡を優先してください。
緊急性がないことを確認したうえで、「地震後に給湯器やガスコンロの状態が気になる」「住宅設備についてどこへ相談すればよいか分からない」といった場合は、LSGへ状況を整理して相談できます。

